【二少>少食、少酒】
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◎少食
食生活の自己診断をしてみましょうチェックリストは以下の10項目です。
早食いでよく噛まない
食事が不規則で朝食を抜くことが多い
主食で摂る穀類が白米、白パンに偏っている
果物をお腹一杯食べてしまう
豆腐・納豆など大豆食品の摂り方が少ない
乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)の摂り方が少ない
海藻類やきのこ類の摂り方が少ない
清涼飲料や嗜好飲料(砂糖入り)をよく飲む
ラーメンと麺類の汁を全部飲んでしまう
アルコール、特にビールをよく飲む
以上10項目の内、イエスが6以上は要注意です。順番に見ていきましょう。
@早食いでよく噛まない
昔から「腹七〜八分目で病気知らず」といわれています。これが「少食」をおすすめする理由なのです。中高年男性」の場合、必要な一日のエネルギー量は2,000キロカロリー前後です。となると一食分は6〜700キロカロリーということになります。米飯軽く二杯と一汁三菜のバランス食にてこれを摂るわけですが、ぱくぱくと早食いをしてしまうと満腹感は得られません。最初の一口は50回以上噛むことを習慣とし、ゆっくり咀嚼します。
A食事が不規則で朝食を抜くことが多い
朝食を抜くことで「少食」にすることができるかというと、これは全く反対です。朝食抜きは夜のまとめ食いの原因となり、結果的には大食を招き肥りやすくなります。
B主食で摂る白米、白パンに偏っている
穀物はカロリーを満たしてくれるのと同時に、本来はビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源でもあります。穀物を白米、白パンで摂っていると、この大切な三要素を欠くことになります。米飯については胚芽米や分搗き米、可能ならば玄米を、そしてパンについては胚芽パンや全粒粉パンがおすすめです。
C果物をお腹一杯に食べてしまう
朝の果物は「金」といわれています。朝食の際に果物を摂り、その他の時間帯でこれをお腹一杯食べるなどといった食習慣は「少食」主義に反します。
D豆腐、納豆などの大豆食品の摂り方が少ない
少食で、かつバランス食を維持するポイントは、蛋白質の摂り方を動物性と植物性を半々にすることにあります。植物性蛋白は、畑の牛肉といわれる納豆などの大豆製品でたっぷり摂るよう献立を工夫しましょう。
E乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)の摂り方が少ない
ビタミン、ミネラルの中でも、日本人にとって最も不足しがちなのがカルシウムです。豊富なカルシウム源として、また良質な動物性蛋白質源として、欠かせないのが乳製品です。一日に牛乳200ml、その他ヨーグルト、チーズなどを適切に摂りましょう。
F海藻類やきのこ類の摂り方が少ない
糖尿病、高脂血症、そして大腸がんや乳がんが増加している背景には、食物繊維不足がみられます。穀物から摂る食物繊維に加えて、緑黄野菜、そして海藻、きのこ類を積極的に摂ることで、食物繊維の一日の必要量である20g以上をぜひ確保するようにしましょう。
G清涼飲料や嗜好飲料(砂糖入り)をよく飲む
一般に市販されている清涼飲料や嗜好飲料には、糖分として砂糖が200ml当たり20g前後含まれています。これを常飲することは、単純糖質の摂りすぎという点で、おすすめできません。仕事の合間のリフレッシュには、無糖飲料を中心にした飲用を習慣化しましょう。
Hラーメンと麺類の汁を全部飲んでしまう
「三白」を摂り過ぎないようにと、常日頃申し上げています。それは、白米・白パンの白、砂糖の白、そしてもう一つの白は食塩の白です。一日の食塩の摂取量は最大10gまで、平均的には7g前後が望まれます。これは旨いというラーメンの汁には一杯で数g以上の食塩が用いられていることに留意しましょう。
Iアルコール、特にビールをよく飲む
「酒は百薬の長」と言われますが、徒然草にも記されているごとく「よろずの病は酒よりこそ起これ」も、また真実です。適正な飲酒量は日本酒換算で最大二合までです。連日の飲酒を慎み、週に2日以上の酒休日を設けましょう。なお、肥満傾向にある方でビールを好んで飲まれる向きは、ビールに含まれる糖分がレギュラー缶でも10gに及ぶということを知ってください。
以上、食生活の自己診断チェックリスト10項目を掲示しました。「少食で健康」を実践していくためには、家族での食生活に加えて、外食に際してもいかに賢くそれを行うかがポイントとなります。「口で食べずに頭で食べる」をモットーに、毎日の食生活を正しく行いましょう。
ケーススタディ 動脈硬化の予防とビタミンE
腹七〜八分目の「少食」をすすめる食生活の中で、より積極的な動脈硬化の予防という点からみたビタミンEの効果を取り上げます。総合検診(半日ドック)を受けられたMさん(42歳、男性)との面談で話題になったのは、動脈硬化の予防対策でした。
▼遺伝要素を考え積極予防
健康診断では、軽度の肥満を除いて異常なしといわれているMさんでしたが、厄年を迎えて少々気にしているのは母方の叔父が二人とも50代で狭心症・心筋梗塞を患い、お一人はそれで亡くなられている点です。このような遺伝的素因を考えると今後、動脈硬化の予防に役立つことがあれば積極的に取り入れてみたいという話になりました。ライフスタイルの上で動脈硬化の危険因子は、食べ過ぎ、運動不足、過度のストレス、それに喫煙です。これらについて、今のMさんには問題なしということで、より積極的な動脈硬化の予防という点でビタミンEの継続的な摂取に関する最新事情をお話し、参考にしてもらうことにしました。
▼さび止めのビタミン
ビタミンEは古くから「さび止めのビタミン」と呼ばれ、現在では生体内での抗酸化作用という生理活性が明らかにされています。天然に依存するビタミンEを含む保健用剤としてはユベラックスが、また医薬品としては合成品のニコチン酸ユベラニコチネード(いずれもエーザイ)があります。米国のハーバード大学で行われたビタミンEの摂取と動脈硬化(狭心症・心筋梗塞)の発生頻度に関する大規模な疫学的研究によると、食事以外にビタミンE製剤を一日当たり500〜1,000mg以上摂取した人は、女子で八年間、男子で四年間の経過の中で、これらの発症は有意に少なかったと報告されています。Mさんには、この成績を参考にビタミンEの継続的な摂取をすすめました。
◎糖尿病の予防に益する食生活−砂糖を減らし食物繊維を増やす
▼米国中年女性のデータから
中高年者における糖尿病は肥満との関係が密接で、その病態はインスリンの分泌障害を抹消におけるインスリン抵抗性によって特徴づけられます。これの成因には遺伝が大きく関与しますが、重要なのは誘因としての美食、偏食、運動不足が見られる点です。1986年米国ハーバード大学公衆衛生学のJ・サルメロン博士らは、米国女性(心・血管疾患、がん、糖尿病と診断されていない40〜65歳までの人)6万5,173名を対象として、6年間の食生活を中心にした大規模な集団追跡調査(コホート研究)をスタートさせ、先頃その成績を米国医師会雑誌(JAMA)に報告しました。それによりますと、6年間に915例の糖尿病発症がみられ、それらにおける食生活上の特徴は、食後過血糖をきたす糖質(砂糖など)の摂取量が多く、食物繊維の摂取量の少ないことを明らかにしています。すなわち、このような食生活をしていると、砂糖を控えて食物繊維を多く摂取しているものに比べると、糖尿病の発症が2.5倍も多くなるということで、糖尿病発症に食物繊維の摂り方が大変深くかかわっていることが明らかにされました。
▼男性でも同様の結果が
女性で行われたのと全く同様の検討が、同じく米国男性4万2,759名で行われ、この成績は米国糖尿病協会誌に報告されました。男性では6年間の間に523名に糖尿病の発症がみられ、これらの食生活でも際立った点はやはり過剰な糖質摂取と過少な食物繊維摂取でした。健全な食生活をしているものに比較して、このような偏った食生活では糖尿病の発症は2.7倍になったということです。
▼予防に役立つ食品選択
わが国における糖尿病の増加と深く関連する因子として、私たちは以前から食物繊維摂取量の減少をあげてきました。昭和30年頃には一日23g摂っていた食物繊維が、現在では16g以下になっています。このような変化をもたらした最大の要因は、穀物の摂り方が減っているのと同時に、精製された白い穀物の常食にあるとみることができます。先の米国の中年男女で得られた成績は、糖尿病の予防に役立つ食品として、食物繊維を豊富に含んだ穀物系のシリアルとヨーグルトをあげています。逆に危険な食品として砂糖含有の飲料水、精白された白パンや白いご飯、それにフライドポテトやマッシュポテトなどを指摘しています。
以上を教訓として腹七、八分目の少食を守り、その中で食物繊維を豊富に摂る食生活で肥満、そして糖尿病を防ぐよう心掛けましょう。
◎「少食」のすすめ−動物実験の成績から
「腹七〜八分目で医者いらず」を、実験動物の成績をもとに考えてみましょう。
▼食餌制限の効果
健康の維持と疾患予防に際して栄養と運動・休養の重要なことが、広く認識されています。現在、わが国の平均余命は先進国でもトップの座を占めていますが、同じ長生きでも望まれるのは健康長寿です。そこで栄養、なかでも食事量はどこまで寿命に影響するものなのか、ラットでの成績をみてみることにします。一般に実験動物の寿命(生存日数)を規定するのは、飼育施設の衛生環境と食餌条件だとされています。前者を一定にし病気や病原を持たないSPFラットを飼育しますと、自由に摂食させた場合に比較して食餌量を50〜80%減らした場合、制限食をしたラットの寿命は有意に延長されることが明らかにされています。SPFラットの死因は腫瘍と腎疾患ですが、制限食を受けたラットではこれらの出現が遅延、または抑制されるか、主要臓器の生理的機能の加齢に伴なう低下も抑えられることが明らかにされています。
▼糖尿病の予防
人にかなり近い生理機能を持つ霊長類であるベンガル猿を用いた米国のB.Hansenらによる研究は、この猿を長期に飼育する中で、加齢とともに何匹かのものは肥満となり、そのうちの何匹かは2型糖尿病を発症するとしています。その発症率は20〜25歳で約30%にも達し、人の場合と同様に徐々に血管障害(動脈硬化)を呈するということです。この猿の飼育に際して、十歳ごろから15年以上にわたって、週に一度の体重測定で増えた場合には食餌を減らし、体重が減った場合には食餌量を増やすという方法で、常に非肥満の体重を維持できるように食餌制限を行うと、この群の中からは糖尿病の発症は全く見られなかったということです。この成績は、成年以降の食餌制限による体重コントロールの重要性を示しています。
▼腹七〜八分目でガン防止
大阪府立大農学部の中野教授らは、150匹のマウスを50匹ずつ@食餌制限なし。A八割程度に制限、B六割程度に制限−の三グループに分け、5週目に全マウスの腹部にガン細胞を注射して人工的にガンを発生させ、その進行具合を調べています。その結果、食餌無制限と八割制限のグループはほとんどが四週目でガン死に至ってしまいましたが、六割制限グループは多くが七週目まで生き延び、ガンの進行具合も有意に抑制されたとしています。マウスの場合、食餌を六割程度抑えたものが、人でいう「腹七〜八分目」に相当するということですので、古くからいわれている格言「腹七〜八分目で医者いらず」は、マウス実験でも確認されたというわけです。なお、このような結果が得られた背景には、六割制限のマウスでは、無制限のマウスに比べて免疫能力が高められているという事実のあることも明らかにされました。このことも、人のガン予防を考える上で大変示唆に富む成績だと言えます。
『健康パスポート』より抜粋
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