【三多>多動、多休、多接】
→多休
→多接
◎「多動」で防ぐ糖尿病
糖尿病が大変身近な病気になっていることはご承知のとおりです。現在、わが国では700万人以上の糖尿病患者が存在すると推定されています。糖尿病の恐ろしさは、眼、腎臓、そして神経に起こる合併症と動脈硬化(心臓病など)にあります。
▼朝のスタートは十分間の体操で
古くから「糖尿病は汗して治せ」といわれています。運動、特に全身運動を行いますと体の中での糖の利用が高まり、高血糖が改善されるようになります。運動不足状態にあると、これとは逆の現象が起こり身体の中での糖の利用が損なわれることで、血糖値の上昇(高血糖)をみるようになります。
このような悪循環を断ち切るための決め手の一つは、毎日の生活に運動習慣をしっかりと定着させることにあります。その手始めとしてお勧めなのが「朝のスタートはテレビ体操で」というものです。
▼主運動は早歩き四十分
西洋の格言に「二本の足は二人の医者」というのがあります。主運動としては、早足歩きが基本になります。では、どのくらいのスピードで歩けば糖尿病の予防に役立つのか、その答えは一分間に80mが基準だということです。しかし、これはあくまでも平均のスピードであって、もう少し積極的にということであれば、古代パピロニア人の生活に学ぶことをお勧めします。彼らは二分間で歩く距離を180〜190mとしていました。実は、この距離が一スタジオンでその昔は一スタジオンの距離を徒歩競争するなどが行われていたとのことです。これを行っていた場所が、その後スタジアムと命名されています。
以上のことを参考に早足歩きで二十分、これを一日二回行う中で多動(運動)による糖尿病の予防をはかりましょう。
◎ダンスで「多動」の効用を
▼目減りする筋肉
中高年に至ると、男女とも体脂肪の蓄積が過多(肥満)になってきます。その理由の大きなものは、運動不足による筋肉組織の目減りと相対的な脂肪組織の増加にあります。そして、四十代を過ぎると、二十代、三十代とは異なり、同じ程度の身体の動きをしていても、消費するエネルギーが少なめになってくるということも中高年肥満に至る特徴的な変化です。
▼Shall We ダンス?
運動が身体によいことは誰もが頭の中で理解しているところです。しかし、歩行も体操もこれを黙々と行うことは多くの人にとって、どうも苦手なようです。
運動器具を使ってみようという向きには、固定自転車、ボート漕ぎ、ダンベル、エキスパンダーなど多くのものが提供されていますが、よほど目的意識がしっかりしていないと、これらを一人で続けることは困難なようです。
そこでおすすめなのが、やはり見せる楽しみなどを伴うスポーツ活動です。しかし、過激なスポーツにはもう身体がついていかないよという中高年には「Shall We ダンス?」をおすすめします。周防正行監督によるこの映画は現代人の戸惑いからの解放を描いた作品ですが、運動という立場でこのダンスを見直してみますとなかなかの運動量であり、まさに体操を伴ったウォーキングエクササイズだということができます。
▼続けることで成果を得る
さて、「Shall We ダンス?」という呼びかけでダンスを始めたといたしましょう。古くから行われている社交ダンス、フォークダンス、そして新しいところではジャズダンスやディスコダンス、さらにはフラメンコ、タップ、フラ、何でも始めたら続けることです。「継続は力なり」です。
ダンスの効用は運動効果に加えて、仲間とのスキンシップを通じての若返り効果も期待されています。日頃行う歩行や体操による基礎体力を基盤に、生涯にわたって楽しめるスポーツとしてのダンスは「多動」のために大変よい選択肢だといえましょう。
◎肥満予防の運動効果ー歩数計活用のすすめ
▼肥満がもたらす健康障害
肥満は体内に占める脂肪組織が、過剰な状態として定義されます。わが国でも、また国際的にも肥満の判定はBMI(体格指数)で行われています。
BMIは体重kg÷身長m÷身長mで算出され、標準値は22です。日本肥満学会は、BMI25以上を肥満と判定することをすすめています。
肥満による健康障害は、糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、脂肪肝、胆石、呼吸機能障害、月経異常や不妊、腰痛、関節障害などが広く知られています。
▼運動による肥満の予防
肥満の成立には、遺伝要因が3〜4割、残りは過食や運動不足などの生活習慣によります。それゆえ、毎日の
生活の中で若い時から「多動」すなわち、運動をよくすることが欠かせません。
遺伝子異常として明らかになっているものにβ3アドレナリン受容体の遺伝子異常があります。この異常を有する人の割合は、日本人の場合3人に1人と推定されています。この異常があると一日の熱産生によるエネルギー消費が約200〜300キロカロリー少なくなることが明らかにされていますので、肥満の予防には、食事を腹八分目にするのと同時に、より積極的な運動によるエネルギー消費が必要となります。
▼歩数計の活用
肥満予防のための運動は、歩くこと、泳ぐこと、筋力を強化するための器具を使う方法、ダンベルを使うやり方、いずれも有効です。毎朝十分間のテレビ体操を手始めに生涯にわたって続けられるスポーツ活動のための基礎体力作りを念頭に、各種の運動を組み合わせるやり方が肥満のやり方肥満の予防にも有用です。
毎日どのくらいの運動が行われているのか、これを知る手段として歩数計の活用をおすすめします。歩数計の原理は、歩行時の身体の上下振動をくわえて歩数に換算するというものですが、歩数の表示法からアナログ式と液晶表示のデジタル式に区分されます。
一日の歩数を最少でも七千歩、平均的に一万歩とすること肥満の予防は無論のこと、すでに肥満している向きについてもこれのみでの体重減少はあまり期待できませんが、もしも糖尿病や高血圧、高コレステロール血症などを合併している場合には、それの改善に顕著な効果がもたらされます。歩数計を活用して効率のよい体作りを目指し、肥満の予防と脂肪による健康障害を防ぐように努めましょう。
◎高血圧の予防と運動の効き目
▼高血圧がもたらす健康障害
右上腕にマンシェットをまいて座位で計るのが、血圧の一般的な測定法です。
健康障害の予防という観点から血圧値は、従前よりも厳しい見方をするようになっています。米国高血圧合同委員会第6次勧告や、世界保健機構/国際高血圧学会の診断基準では、高齢者でも140/90mmHg未満が望ましいとし、若・中年者、そして糖尿病患者などで130/85mmHg未満とすることを求めています。
血圧がこのレベルを超えることによる健康障害としては、心疾患(左心室肥大、狭心症、心筋梗塞、心不全)そして一過性の虚血発作も含めた脳血管障害、その他腎障害、末梢循環障害、視力障害をもたらす網膜症などが広く知られています。
高血圧によるこのような健康障害は、糖尿病や高脂血症の合併によって加速され、生活習慣としては喫煙や過度の飲酒が危険因子となります。
▼高血圧の背後にあるインスリン抵抗性
高血圧による健康障害を加速させる糖尿病や高脂血症にも共通する異常として、最も注目すべきは肥満の存在です。そして、肥満者を特徴付ける所見はインスリン抵抗性で、血中インスリンレベルの高値によって証明されます。
特に、内臓脂肪型肥満で高度な糖尿病状態を示すものでは、そうでないものに比べて有意に高血圧の頻度の高いことが明らかにされています。そこで、インスリン抵抗性の改善には肥満した体重を健康体重に戻すことが不可欠であり、そのための手段として食生活改善とともに運動不足の解消が必要です。
▼予防に必要な運動の仕方
体脂肪増加に基づく肥満をベースに糖尿病、高血圧、高脂血症、腎障害のみられる他因子性の病態を世界保健機構は、代謝症候群と定義しています。この症候群を特徴付けれるのはインスリン抵抗性ですが、これの是正には腹7〜8分目の節食とともに一日六十分の運動がおすすめです。
日常生活では誰もが身体を動かしていますが、現代生活はその程度を極めて軽度なものにしています。そこでまず、一日のうちで十分以上は脈拍が120/分を越える程度の身体活動を心がけながら、歩行は二十分二回を含めて歩行数を平均1万歩以上、加えて、ブルワーカーなどによる筋力トレーニングを10分、そして体操やストレッチングを10分トータルで1日60分の運動がインスリン抵抗性に伴う高血圧予防に効果的です。
なお、これによって消費エネルギー量が一日300キロカロリー前後になることを目指します。
『健康パスポート』より抜粋
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